長野県安曇野市にある 安曇野ちひろ美術館 は、世界的に有名な絵本作家・いわさきちひろの作品を中心に展示する美術館です。
しかし、この美術館の魅力は展示だけに留まりません。
北アルプスの雄大な山並みを借景に取り入れた低層建築や、広大な公園、四季折々の自然景観が一体となり、訪れる人に心地よい時間を提供しています。
1. 絵本原画とアートの魅力
安曇野ちひろ美術館の最大の魅力は、やはり いわさきちひろの原画展示 です。鮮やかな水彩画の色彩や、柔らかいタッチは、子どもはもちろん大人の心も引きつけます。館内では、原画に加え、国内外の絵本作家の作品も展示されており、絵本の世界を深く味わうことができます。
さらに、美術館では絵本の読み聞かせやワークショップなども行われており、子どもたちが直接アートに触れられる場としても人気です。訪れるたびに新しい発見があるため、リピーターも多い施設です。


2. 建築と自然の調和
美術館の建築は、北アルプスの風景や周囲の田園を生かす設計がなされています。低層の建物は草原に溶け込み、外壁や屋根の色も自然環境に馴染む落ち着いた色彩で統一。大きな窓からは、季節ごとに変化する景観が館内に取り込まれ、絵本の世界と自然の美しさが一体化します。
敷地内には広い公園や散策路が整備されており、歩きながら建築と自然の関係性をじっくり体感できます。春は花々、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の変化も楽しめます。


3. 建築デザインのポイント
この美術館は、富山県美術館などを手掛ける内藤廣さんの設計です。
1. 風景との対話
建物の立地は、北アルプスを借景にするような里山の田園風景の中。屋根のラインや建物のスケールを、山並みや田んぼのリズムと呼応させています。
見た目には「やや小ぶり」「水平に広がる」「自然素材を使っている」という印象で、建築が主張しすぎず、自然の中に“そっと置かれた存在”になっています。

2. 素材と構造の選定
- 長野県産の カラマツ材 を屋根構造・内部仕上げ材として多用。
- 外壁は珪藻土仕上げ、屋根は亜鉛合金板竪ハゼ葺きという落ち着いた仕様。
- 建物を一つの大きなボリュームとせず、切妻屋根が並ぶ複数の小さなボリュームに分節されており、スケールを抑えて“住宅的”な親しみをもたせています。

3. 空間と光の演出
展示館内には大きな開口があり、自然光や庭・草原の緑を取り込むことで、“建物と自然の境界”が曖昧に感じられます。展示室でありながら、外の風景が一部に溶け込んでいるような体験ができます。
また、スケール感を過度に大きくせず、来館者(特に子ども)がリラックスできる「親しみある美術館」として設計されている点も特徴です。

4. 敷地設計=ランドスケープと建築の一体化
この美術館は、建物だけで完結していません。隣接する「安曇野ちひろ公園」と一体となるランドスケープ設計がなされており、芝生広場・水路・遊び場・散策路が広がっています。
つまり「建物を訪ねる」というより「場を体験する」という感覚が強く、「建築+自然+時間」が融合する場所です。

4. 周辺観光と街歩き
安曇野ちひろ美術館の周辺には、松川エリアならではの景観と観光スポットがあります。
信濃松川駅を出てすぐの松川村観光協会では、レンタルサイクルを貸し出しています。
美術館までは徒歩30分、レンタサイクルで15分ほど。散策を楽しみながら自然景観と建築を堪能できます。
- 田園風景:北アルプスを背景にした田園は、写真スポットとしても人気。早朝や夕方の光が特に美しいです。
- クラフトギャラリーやカフェ:美術館周辺の小さなカフェやギャラリーを訪れることで、松川エリアの文化的リズムを感じられます。

5. まとめ
安曇野ちひろ美術館は、ただ絵本の原画を見るだけの場所ではありません。
北アルプスを借景とした低層建築。
草原と水路を活かした敷地設計。
絵本アートと自然が融合した体験型空間。
訪れる人に「心の豊かさ」と「安らぎ」を与えてくれる美術館になっています。
松川エリアの街歩きと組み合わせることで、安曇野の自然・建築・文化を丸ごと楽しむ旅が実現します。


